変革のマネジメントとはマネジメント自体を変革すること
組織へのアジャイル開発導入とか、アジャイルな組織への変革について考えたり調べたりしていると、温故知新というかなんというか、結構古くからある先人の知恵とでもいうべきものにたどり着きます。その中の一つとして、デミング(W.Edwards Deming 1900-1993)の理論があります。
昨夜も、Bob Marshall氏のTweetから、こんな小冊子にたどり着きました。
Transformation Forum - Managing Transformation actually means Transforming Management
ここからダウンロードできるたった12ページのpdfですが、何がいいってこのタイトルですね。というわけで、今回は中身には細かく触れずにこのタイトルだけでちょっと書いてみたいと思います。
"Managing Transformation actually means Transforming Management"
これがこの小冊子のタイトルです。
以前のエントリでも書きましたが、アジャイル開発あるいはアジャイルな組織におけるマネジメントを学ぶ/理解する必要性はますます高まっていると思います。そこでの「なんで?」というのは、いろいろ説明はできるのですが、なかなかズバリ簡潔に表す言葉がいままで見つけられていませんでした。
そんな中で、このタイトルというのはなかなかコンパクトで要点を突いており、かついろいろ考えさせられるよいフレーズなのではないかと思いました。
現場を変革するには従来型のマネジメントを変えなければならない
例えばアジャイル開発の導入、アジャイルな組織への変革にあたって、現場メンバーのマインドセットを変えなければいけないとか、現場の仕事のやり方を変えなければいけないとしましょう。そして、あなたはマネージャーとしてその変革を進めなければいけないとなったとき、あなたはまず何をしますか?
いろいろやり方はあると思いますが、私はまずはあなた自身が自分のマネジメントのやり方を見直すことが重要であると考えます。マネージャがマネジメントのやり方を変えないでいて、現場だけアジャイルにしようとかありえないですよね?(←いや、実際にはそういうことが結構あるのが問題なのですがw)
そういう意味で、変革をマネジメントしていくということは、マネジメント自体を変革していくことにほかならないわけです。
決して新しい話ではない
そのあたりについて正面から捉えた書籍としては何回か紹介しているJurgen AppeloのManagement 3.0があるわけですが、これも、彼の独創というよりは、先人たちの複雑系理論、認知科学、そしてマネジメント理論を彼なりに混ぜ合わせて整理したようなものですし、同じくJurgenが自費出版した"How to Change the World"も既存のモデルを組み合わせてラッピングしたメタモデルとなっています。(彼はこの手法を、なんでもない材料からおいしいカクテルができあがることになぞらえて「モヒート・メソッド」と呼んでいます。)
なので、「今さらデミング?」とか思われるかもしれませんが、あらためてそのあたりの理論に触れてみると、今の現場で(特にアジャイルな組織への変革とかの文脈でも)使えることは多いような気がするのです。
あわせて読みたい
- アジャイルなマネジメントについて考える必要性(書籍 "MANAGEMENT 3.0") - Always All Ways
- Lulu.comで「世界を変える方法」を買ってみた - Always All Ways
- アジャイル開発へのミーム学的アプローチ - Always All Ways
- But...Self-Organization Is Not Enough: 自己組織化チームに関する誤解とマネージャの役割 - Always All Ways
- エンタープライズ・アジリティについて考える (2) - Always All Ways
- アジャイル開発に組織が興味を持ったならどうすればいいか? - Always All Ways
- Scrumを教えるのに最適なフレームワークはScrum - Always All Ways
- 作者: Jurgen Appelo
- 出版社/メーカー: Addison-Wesley Professional
- 発売日: 2010/12/28
- メディア: ペーパーバック
- クリック: 5回
- この商品を含むブログを見る