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Always All Ways

Apologies, Glances and Messed Up Chances

エンタープライズでのScrum導入を支える仕組み

Agile

いろんな経緯から金融系のエンタープライズでのScrum導入について海外での事例などを聞かれたりすることがあります。その度に知ってる範囲で小出しにちょこちょことお話したりもしているのですが、その中でも割とまとまっている公開資料をもとに、少し気になるポイントを整理しておきたいと思います。

Looking back at four agile years at Allianz

最近、とりあえず金融系でのエンタープライズレベルでのScrum導入事例としてさくっと見れる公開資料としておすすめしているのが、独アリアンツのScrum導入の全体像をまとめたこの資料です。

これは、AGILIA - CONFERENCE 2011でのChristoph Weiss氏とSimon Roberts氏のセッション資料で、独アリアンツにおける4年間のScrum導入の経緯について、その規模感ややり方、そこからの学びとともにコンパクトにまとめられています。

導入・展開を支える仕組み

この資料の中で私が最も注目しているのがこのページです↓
f:id:tmaegawa:20120419112647p:plain
     (Source: Looking back at four agile years at Allianz (pdf))

ここではエンタープライズレベルでのアジャイル導入・展開にあたって、2つのサポート組織を作っているわけです。

Enterprise Transition Team

戦略を立てて、エンタープライズレベルでの導入への妨害事項(Impediments)を除去する役割を持っています。個々のScrumチームのスクラムマスターはそれぞれのImpedimentsの除去を行いますが、それで対処しきれないものをこちらで対応します。
このチームも一種のスクラムチームですので、バックログ(Transition Backlog)を持っています。そしてアウトプットするプロダクトは、ITとビジネスのアラインメントとなります。

Scrum Center

チームへのトレーニングやコーチングを行うという役割を持っています。このチームのバックログはトレーニングやコーチングが必要なチーム、そしてプロダクトは有効性を持ったチームです。

チェンジ・マネジメント・アプローチとしてのScrum

残念ながらこのプレゼンテーションそのものの動画は公開されていないようですが、上の図(に似たもの)の解説などは、Simonが以前に行った別のプレゼンテーションの動画で観ることができます。ご参考までに貼り付けておきますね。上の図の説明は、だいたい15:22あたりからです。

Simon Roberts - Making Scrum Stick: Sustainable Scrum Transitions from ACE! Conferences on Vimeo.


この中でも彼が言っていますが、「Scrumをチェンジ・マネジメントのアプローチとして使う」ということが一つのポイントです。以前のエントリでも何回か書いていますが、「アジャイルの導入はアジャイルにやれ」と言うことですね。それを形にしたのが、上の図のEnterprise Transition Teamであり、具体的には、Transition Backlogにユーザーストーリーの形でバックログをぶっ込んでTransitionの戦略をScrumで回していくということです。

まとめ

ここで紹介した例は、大きな会社が「本気出して」やるというのはこういうことなんだろうな、という好例だと思います。戦略としてのEnterprise Transition Teamと戦術としてのScrum Centerによって、個別のスクラムチームを支えていくというのは(どこでも適用できるわけではないと思いますが)ひとつのモデルとして参考になります。実際、国内でもエンタープライズレベルでアジャイルに取り組んでいる企業は似たような仕組みを作ってきているのではないかと想像しています。