Always All Ways

Apologies, Glances and Messed Up Chances

アジャイルやリーンのパイロットプロジェクトに関する考察

先日、id:kent4989さんが
「アジャイル手法によって生産性が上がりプロジェクトは成功するか?(いいえ) - 勘と経験と読経」
というエントリを書いていました。

まぁ、「いいえ」と言い切ってしまうのもどうかと思いますが(笑)、もとの疑問文に「必ず」とつければ概ね合意です。

 

さて、上記のエントリはパイロットに限って書かれたものではありませんが、ここでちょっとパイロットについて考えてみたいと思います。アジャイル開発の導入にあたってよく言われることに、「まずはパイロットプロジェクトをやってみて、成功事例を示していきましょう。そして小さな成功体験を積み重ねて全体に展開していきましょう。」というのがあります。

 

しかし一方で、たとえパイロットとして部分的に始めるにしても、「全体を見る」ことを忘れてはいけないということも言われています。

その一例として、Alan Shalloway氏のNetObjectivesにより一昨日YouTUBEにアップされている、少し衝撃的なタイトルのビデオを紹介します。

 

「パイロットの成功がアジャイルな組織をダメにすることもある」- これは我々がアジャイルやリーンの導入をする際にパイロットプロジェクトを実施し、またその結果を考察するにあたって念頭においておくべきことだと思います。

 

これと併せて、是非見ておいていただきたいのが、同じくAlan Shalloway氏がRon Jeffries氏ほか何名かとtwitter上で関連したテーマで意見交換しているものです。トゥギャッターで以下に抜粋してまとめておきました。

「パイロットプロジェクトについて」- Togetter

また、ご参考までに、2年近く前にDonやAlanたちの全体最適と部分最適についてのtweetのまとめにも目を通しておくとよいかもしれません。

「Global optimization vs. Local Optimization」 - Togetter

 

"Optimize the Whole"みたいな話は、これらに限らず昔からAlanの本("LEAN-AGILE SOFTWARE MANAGEMENT")を読んでいても随所で感じられる話です。Agile Japanに来日した割には、イマイチこの本もメジャーにならず、訳書も出ていないのですが、私はこの本、大好きです。多分、アジャイルやリーンの文献の中でこの本を一番読んでます。ご興味があれば是非ご一読をおすすめします。

部分的には、以前のブログにも少しだけ書いてます。

Always All Ways: [IT] Alan ShallowayのLean-Agile(その1)

Always All Ways: [IT] Alan ShallowayのLean-Agile(その2)

 

そしてもう一つここで重要な概念が「ホリスティック」(Holistic)です。ギリシャ語のホロス (holos=全体) に由来し、「部分を積み重ねても全体にはならない、 全体は一つの有機的なつながりで、部分の和とは異なる」みたいな考えがベースにある…らしいです。これについてはまた、別の機会に書くかもしれませんが、参考文献をひとつだけ示しておきますね。

 

ホリスティック・クリエイティブ・マネジメント―21世紀COEプログラム:エージェントベース社会システム科学の創出

ホリスティック・クリエイティブ・マネジメント―21世紀COEプログラム:エージェントベース社会システム科学の創出

  • 作者: 木嶋恭一,マイケル・C.ジャクソン,小林憲正,根来龍之,高橋真吾,中條尚子,吉田武稔
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本
  • クリック: 2回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る

 

Lean-Agile Software Development: Achieving Enterprise Agility (Net Objectives Lean-Agile Series)

Lean-Agile Software Development: Achieving Enterprise Agility (Net Objectives Lean-Agile Series)