経営にとってのアジャイル(または最近のSteve Denningの記事がツボにはまるという話)
このブログでも今まで、アジャイル開発におけるマネジメントやマネージャーの役割について何回か取り上げてきました。が、今までのはそれでもまだ、どちらかというと「現場より」のマネジメントの話でした。(会社の役職で言えば課長から部長くらいのイメージですかね。)
で、もう少し上のいわゆる役員以上くらいをイメージした時に、どうやってアジャイル開発を説明していくかとか売り込んでいくか、あるいはその層をどうやって味方にしていくかという課題に関して、最近のSteve Denningが書いているものが結構ツボにはまる内容なので、注目記事をいくつかセレクトして簡単にご紹介しておきたいと思います。
地球上で最も守られている経営の秘法:アジャイル
まず、割と新しいところで最もインパクトのあった記事がこちらです。
この記事は、掲載されてすぐにTwitterでも欧米のアジャイル界隈では結構話題になったので読まれた方も多いかと思います。(日本のアジャイル界隈ではあまり話題にならなかったような気もしますが…)
この中では、いくつかの過去の例を出しながら、画期的な新しいやり方が期待されていないところから生まれてきた場合、それが認められるまでに時間がかかるということを示しています。そして、アジャイルについても、本来、経営的に見てもすごいことであるにもかかわらず、それがソフトウェア開発というギークなところから出てきたために、いわゆるマネジメント関連の書籍でも正面から取り上げられることが少なく、過小評価されていると述べています。
なお、この記事の中では、マネジメントの書籍で珍しくアジャイルについてきちんと言及しているものとして、Mark Addlesonの"Beyond Management: Taking Charge at Work"を紹介しています。
なぜCxOはアジャイルを理解できないのか?
それに続く一番新しい記事としては、
があります。
C-suiteというのは、時々CxOとも表されますが、CEOやCOO、CFO、CIOなどのいわゆる「チーフなんちゃらオフィサー」と称される経営幹部のことですね。そういう経営幹部がなぜアジャイルを理解できないのか、という話。
記事は、"Leadership in a Wiki World: Leveraging Collective Knowledge To Make the Leap To Extraordinary Performance"の著者であるRod Collinsとの対談形式となっていて読みやすいです。
アジャイルの財務インパクト
もう一つ、去年の記事になってしまいますが、財務的な効果やインパクトに着目した記事がこちら。
Cost AccountingとThroughput Accountingの話、そして聞き手に合わせてどういうストーリーを組み立てるのがよいのかなど、とても勉強になります。
日本では
日本でも、たとえば昨年出版された「日本企業にいま大切なこと」(野中郁次郎・遠藤功)でスクラムが取り上げられていたりもして、アジャイル開発あるいはアジャイル・マネジメントといったものが経営幹部層にもリーチしていっているのではないかと思います。というか、この領域はまさに諸外国にさきがけて日本がリードしていかねばならないのではないかな、と思います。
The Leader's Guide to Radical Management: Reinventing the Workplace for the 21st Century
- 作者: Stephen Denning
- 出版社/メーカー: Jossey-Bass
- 発売日: 2010/10/12
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Beyond Management: Taking Charge at Work
- 作者: Mark Addleson
- 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
- 発売日: 2011/11/15
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- 作者: Rod Collins
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- 作者: 野中郁次郎,遠藤功
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