QA versus Testing! Antagonism or Symbiosis?
去る3月12日〜14日にBelgium Testing Days 2012が開催されました。そこで全体のテーマとして掲げられていたのが今回のエントリのタイトルに挙げた"QA versus Testing! Antagonism or Symbiosis?"(品質保証 vs. テスト!敵対か共生か?)です。
アジャイル開発におけるQAやテスト
みなさんご存知の通り、Scrumのようなアジャイル開発においては開発チームのメンバーは多能工であることが求められ、そこではテスターやQAなどといったロールは明確に区別されていません。しかし一方で、トラディショナルな開発スタイルからアジャイルへの移行において、QAの機能をどこでどう持たせるかとか、テスターがアジャイルチームの中でどう振る舞うべきかといったあたりは、必ずといっていいほど課題として挙がってきます。つい最近でも、Twitter上でこんなのも目にしました。
ScrumのMLで不定期に沸き起こる話題→「QAテスターなんだけどScrumチームに馴染めません」 いつもの助言→「コード書けるようになってフィーチャ議論から実装まで参加できるようにしろ」
— Masayoshi Nakamuraさん (@masayang) 3月 19, 2012
そこら辺を考える上で参考になるような議論が、Belgium Testing Days 2012でもきっとたくさんされたんだろうなぁ、と勝手に想像していますが、ここ数日でそのセッションの中から注目すべき2つのセッションのスライドが相次いで公開されましたので、それらをネタにしてさらに想像を膨らませてみましょうか。
QA or Test? Does it Matter? You Bet it Does!
まずひとつ目は、Johanna Rothmanによるキーノートのスライドです。
ソフトウェアの品質に関連する似たような役割を果たす人々の中で、ある人たちはQAと呼ばれ、ある人たちはテスターと呼ばれます。そこでのQAだとかテスターだとかいう「名前」は重要でしょうか?Johannaは、確かにそれは重要であると言っています。その呼び方自体が、組織の他の人たちからみた「期待」を示すものになるからです。
ですので、我々も、QAかTestかという点についてはもっと意識して言葉を使い分ける必要があるかもしれません。
What Testers Can Learn to Work More Effectively with Programmers
もう一つは、Lisa Crispinのセッション・スライドです。本当のタイトルは、頭に"Speaking Their Language"というのがついています。
彼女は"Whole Team Approach"を提唱しています。すなわち、それぞれのユーザー・ストーリーに対するテストを完了させるということに対してチームの全員が責任を持つということです。それには強い協力関係が必要です。もしプログラマーが、テスターたちが「彼ら(彼女ら)の言葉を話さない」と感じたら、それは大きな障壁となってしまいます。開発者とテスター間のコラボレーションを促進するために何が必要か?というのをテスター側からの視点で紹介しています。
これはまさに、上でとりあげた@masayang氏のtweetとも重なるところだと思います。
まとめ
先日のAgile Japan 2012でも、アジャイルの次のフロンティアとしてマネジメントの問題を挙げる声が多かったように聞きます。それも確かにそうですが、もう一つ、アジャイル開発におけるQAやテストというのもまだまだ考えるべきことが多いような気がしています。国内でもテストや品質に関わるコミュニティやイベントも数多くありますが、アジャイル関係のコミュニティとの交流がさらに深まり、いろんなディスカッションや事例の共有ができればいいなぁ、と思う次第です。
おまけ
さて、上でLisa Crispinのスライドを紹介しました。Lisaと言えば「実践アジャイルテスト」で有名ですが、その共著者であるJanet Gregoryが日本に来るらしいですよ。楽しみですね!
ジャネット・グレゴリー 「実践アジャイルテスト」研修 5月29日〜30日 (同時通訳付き) (2日間に変更しました) - アギレルゴコンサルティング株式会社
実践アジャイルテスト テスターとアジャイルチームのための実践ガイド (IT Architects’Archive ソフトウェア開発の実践)
- 作者: Janet Gregory,Lisa Crispin,榊原彰,増田聡,山腰直樹,石橋正章
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/11/28
- メディア: 大型本
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