Always All Ways

Apologies, Glances and Messed Up Chances

Jurgenがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!

既にみなさんご存知のことと思いますが、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013にJurgen Appelo氏がやってきます。
というわけで、予習エントリでございます。

まず一冊読むなら"Management 3.0"

とりあえず読んでおきたいのは、"Management 3.0"ですね。これは良い本。

Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

日本語でお手軽に読みたいなら

そうは言っても洋書はちょっと…という、そこのあなた!
そんなあなたのために、ワンコインで買えるお手軽な翻訳書が電子書籍で出ています。

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これは、買って読むしかないですね。

その他

これまた英語になっちゃいますが、このあたりは追いかけておくといいですね!

TwitterFacebookでは、Jurgen本人のアカウントだけでなく、以下もチェックです。

そしてみんなでJurgenに会いに行こう!

"Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013"は、年明けすぐの2013年1月15日〜16日の2日間開催で、現在チケット絶賛発売中らしいです。

尊敬されていないイノベーターに、自分のアイデアを売ってしまわないこと

「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」の中で好きな箇所を一つ挙げろと言われたら、私は次の一節を挙げると思います。

決して、あなたが今後説得したいと考えている人々に尊敬されていないイノベーターに、自分のアイデアを売ってしまわないこと。間違った人々にアイデアを売ると、他の人々の抵抗はより強くなってしまう。

翻訳だと少しわかりにくいかもしれませんが(←自分で言うなw)、原文ではこうです。

Don't sell your idea to innovators who are not respected by the rest of the people you want to convince. If you sell to the wrong ones, the rest will resist even harder.

チェンジ・プログラムを推進するには、組織内のイノベーターを見つけて、そこに火をつけることが重要です。しかしながら、それは思考の変化に柔軟で変化にすぐ飛びつく人ようなイノベーターの素質を持つ人なら誰でもよいというわけではないということです。これって忘れがちだけど大事なこと。

ちなみに、この話は、Kerry Pattersonらの"Influencer"という本に出てくるのをもとにしています。

The key to getting the majority of any population to adopt a vital behavior is to find out who these [unwanted] innovators are and avoid them like the plague. If they embrace your new idea, it will surely die.
(Kerry Patterson, et al. "Influencer")

こんな役に立つアドバイスが満載の「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」は、達人出版会で電子書籍として絶賛発売中です♪
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「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」


Influencer: The Power to Change Anything

Influencer: The Power to Change Anything

  • 作者: Kerry Patterson,Joseph Grenny,David Maxfield,Ron McMillan,Al Switzler
  • 出版社/メーカー: McGraw-Hill
  • 発売日: 2007/08/22
  • メディア: ハードカバー
  • クリック: 1回
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チェンジ・マネジメント3.0の何が3.0なのか

最近、宣伝づいているようで恐縮なのですが(実際、宣伝なのですが)、先週末に達人出版会より"How to Change the World〜チェンジ・マネジメント3.0"がリリースされました。

おかげさまでみなさんにTwitterやブログでも取り上げていただき、翻訳者はじめ関係者一同、心より感謝しています。

ところで、この「3.0」ってなんなんでしょうか?

Management 3.0とChange Management 3.0

ご存知の通り、原書の著者であるJurgen Appelo氏は、"Management 3.0"の著者でもあります。チェンジ・マネジメント3.0は元々、"Management 3.0"の研修コースの一部(書籍の"Management 3.0"にはそれに相当する章はない)であり、それ故にその3.0を継承していると考えるのが妥当かと思っています。

Manaement 3.0とは

では、"Management 3.0"の3.0というのは何を示しているのでしょうか?
これは書籍の中に書かれています。また、このブログの過去エントリでもそこを引用しながら以下のように記しています。

著者はMANAGEMENT 1.0から3.0を以下のように定義しています。

Management 1.0 = Hierarchies
Management 2.0 = Fads
Management 3.0 = Complexity

要するに、1.0は階層型組織におけるトップダウン型(場合によっては科学的管理とかコマンド&コントロールとも呼ばれる)のマネジメントであり、2.0は基本的な構造は1.0を引きずりながらその上にいろんなadd-onを載せたもの、そして3.0はこれまでとは全く違う複雑系の理論やホリスティックな考え方に基づくマネジメントであるということです。

扱っているのは複雑で適応的な社会システムを変える方法

つまり、本書が扱っているのも、CAS (Complex Adaptive System)なのです。それを表す文言も中にいくつか出て来ています。

我々はみんな、複雑な社会システムを変える方法を知りたいのだ。

社会システムのような複雑なものの振る舞いを変えるためには、チェンジ・マネジメントの4つの側面を理解する必要がある。

そして、それを全く新しい手法や考え方を持ち出すのではなく、その4つの側面に対応する既存の有名なモデルをラッピングする形のスーパーモデルで説明しようとするのが本書の真骨頂なのです。

「How to Change the World〜チェンジ・マネジメント3.0〜」が出ました!

3月末頃からユルユルと翻訳作業を進めてきた"How to Change the World"(Jurgen Appelo著)の日本語版を、昨日(7/13)無事に出版することができました。

本書は電子書籍版(PDF/EPUB)のみで、達人出版会さんのサイトから購入できます。

この本との出会い

過去の関連記事は、こちら

著者のJurgenは、このブログでも再三取り上げている書籍「Management 3.0」を書いた人で、私が最も影響を受けた人物500人のうちの一人です。ご興味があれば是非、ダウンロードして目を通してみてください。

AgileとChange

アジャイル開発の現場においては、変化を抱擁し変化に適応していくことが求められます。そして、アジャイル開発の導入・適用においては、組織レベルでの変化やトランスフォーメーションが欠かせません。
そこでは、チェンジ・エージェントとして適切に振る舞える人が必要であり、優秀なチェンジ・エージェントになるために必要なことが80ページ足らずのコンパクトな小冊子にまとめられたのが"How to Change the World"です。

Fearless ChangeとHow to Change the World

Changeやチェンジ・エージェントというキーワードから、Linda Risingの"Fearless Change"を思い出された方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は是非、無料でダウンロード可能な

を併せてお読みになることをおすすめします。
その中にはチェンジ・エージェントが考えるべき問いが、"Fearless Change"のパターンとのリファレンス付きでリストアップされています。

謝辞

今回の翻訳に際しては、原著がそもそもJurgenの自費出版のような形だったこともあり、翻訳の許諾を得るために著者本人に直接コンタクトを取るところから始まりました。日本語版の出版を快諾してくれたJurgenをはじめ、共訳者の川口さん・吉羽さん、レビューをしてくださった原田さん・ナイスビアの永瀬さん・高江洲さん、契約面でお手伝いいただいたアギレルゴコンサルティングの谷口さん、達人出版会の髙橋さん、その他本書の出版に関わってくださったすべての人々に感謝です。

経営にとってのアジャイル(または最近のSteve Denningの記事がツボにはまるという話)

このブログでも今まで、アジャイル開発におけるマネジメントやマネージャーの役割について何回か取り上げてきました。が、今までのはそれでもまだ、どちらかというと「現場より」のマネジメントの話でした。(会社の役職で言えば課長から部長くらいのイメージですかね。)

で、もう少し上のいわゆる役員以上くらいをイメージした時に、どうやってアジャイル開発を説明していくかとか売り込んでいくか、あるいはその層をどうやって味方にしていくかという課題に関して、最近のSteve Denningが書いているものが結構ツボにはまる内容なので、注目記事をいくつかセレクトして簡単にご紹介しておきたいと思います。

地球上で最も守られている経営の秘法:アジャイル

まず、割と新しいところで最もインパクトのあった記事がこちらです。

この記事は、掲載されてすぐにTwitterでも欧米のアジャイル界隈では結構話題になったので読まれた方も多いかと思います。(日本のアジャイル界隈ではあまり話題にならなかったような気もしますが…)

この中では、いくつかの過去の例を出しながら、画期的な新しいやり方が期待されていないところから生まれてきた場合、それが認められるまでに時間がかかるということを示しています。そして、アジャイルについても、本来、経営的に見てもすごいことであるにもかかわらず、それがソフトウェア開発というギークなところから出てきたために、いわゆるマネジメント関連の書籍でも正面から取り上げられることが少なく、過小評価されていると述べています。

なお、この記事の中では、マネジメントの書籍で珍しくアジャイルについてきちんと言及しているものとして、Mark Addlesonの"Beyond Management: Taking Charge at Work"を紹介しています。

なぜCxOはアジャイルを理解できないのか?

それに続く一番新しい記事としては、

があります。
C-suiteというのは、時々CxOとも表されますが、CEOやCOO、CFO、CIOなどのいわゆる「チーフなんちゃらオフィサー」と称される経営幹部のことですね。そういう経営幹部がなぜアジャイルを理解できないのか、という話。

記事は、"Leadership in a Wiki World: Leveraging Collective Knowledge To Make the Leap To Extraordinary Performance"の著者であるRod Collinsとの対談形式となっていて読みやすいです。

アジャイルの財務インパク

もう一つ、去年の記事になってしまいますが、財務的な効果やインパクトに着目した記事がこちら。

Cost AccountingとThroughput Accountingの話、そして聞き手に合わせてどういうストーリーを組み立てるのがよいのかなど、とても勉強になります。

日本では

日本でも、たとえば昨年出版された「日本企業にいま大切なこと」(野中郁次郎・遠藤功)でスクラムが取り上げられていたりもして、アジャイル開発あるいはアジャイル・マネジメントといったものが経営幹部層にもリーチしていっているのではないかと思います。というか、この領域はまさに諸外国にさきがけて日本がリードしていかねばならないのではないかな、と思います。



The Leader's Guide to Radical Management: Reinventing the Workplace for the 21st Century

The Leader's Guide to Radical Management: Reinventing the Workplace for the 21st Century


Beyond Management: Taking Charge at Work

Beyond Management: Taking Charge at Work


Leadership in a Wiki World: Leveraging Collective Knowledge to Make the Leap to Extraordinary Performance

Leadership in a Wiki World: Leveraging Collective Knowledge to Make the Leap to Extraordinary Performance


日本企業にいま大切なこと (PHP新書)

日本企業にいま大切なこと (PHP新書)

"Lean Healthcare"ってなに?

さきほど、こんなブログ記事がアップされていました。
Interested in a Possible Lean Healthcare Study Trip to Japan? — Lean Blog
そしてそこから辿っていくと、少し前のこんな記事にもぶつかりました。
Video: Salem Health CEO & Senior Leaders Comments About Visiting Japan — Lean Blog

確かに、医療の分野って興味深い領域ではあるけれども…。そこで"Lean"ですか…。そしてそれを学びに日本へのツアー?ふむふむ。

結局まぁ、人の問題とそれをとりまくシステム(系)の問題に帰着しちゃうということでしょうか。

そういえば、以前、アジャイルマインド勉強会が医療のことやってましたよね。あれは、どういった経緯で医療にアプローチすることになったんでしたっけ?
3月8日 アジャイルマインド勉強会~「医療現場でのマインド」上映会(東京都)

そんなことを考えてると以前のエントリで紹介した松尾睦さんの「学習する病院組織―患者志向の構造化とリーダーシップ」という書籍もちょっと関係しそうな領域に思えてきます。

このあたり、もう少し突っ込んで勉強してみると面白いのかもしれませんが、とりあえず備忘メモということで。
# わざわざ"Lean"と言わなくても"Kaizen"でいいんじゃね?と思わなくもないのですが、ちゃんと見てないのでなんともいえませぬ。



Healthcare Kaizen: Engaging Front-Line Staff in Sustainable Continuous Improvements

Healthcare Kaizen: Engaging Front-Line Staff in Sustainable Continuous Improvements


Kaizen Workshops for Lean Healthcare (Lean Tools for Healthcare Series)

Kaizen Workshops for Lean Healthcare (Lean Tools for Healthcare Series)


Standard Work for Lean Healthcare (Lean Tools for Healthcare Series)

Standard Work for Lean Healthcare (Lean Tools for Healthcare Series)


学習する病院組織―患者志向の構造化とリーダーシップ

学習する病院組織―患者志向の構造化とリーダーシップ

DisciplineとInstitutionalization

アジャイル開発への取り組みに関して、現場メンバーとユーザ/顧客は前向きだけれども、情報システム部門も含めた社内マネージャ層が支持してくれないという話を良く聞きます。過去、自分の組織の中でのアジャイル開発(Scrum)の導入・展開を推進してきた経験をふりかえってみても、一番説得・突破が難しいのは、情報システム関連の他リーダや品質・リスク管理関連部門などのいわゆる「中間管理職層」であったような気がします。

なぜ彼らは反対するのか?

答えは簡単です。それが彼らの仕事だ(と思っている)からです。
現場メンバーは、変化への反応は人それぞれですが、自分たちがよりよいやり方にトライできるならば比較的柔軟に対応していく傾向があります。また、トップマネジメントやユーザ部門は、よりよい商品やサービスが生み出せたり、Time-to-Marketが短縮できたりすることの方にフォーカスする傾向があるため、その点でのメリットを説明することで突破可能です。
一方で、情報システム関連あるいは周辺関連部門のマネージャの関心事はなんでしょうか?彼らは、例えば

  • 自部門のプロセスを把握し、適切にコントロールしていることや上司に説明できることを期待されている
  • リスクや品質、監査の観点で社内プロセスの明文化・制度化を求められている

といった環境下にあり、またそれが自分自身の存在価値であると考えています。従って、彼らに対してはこのあたりの観点でどうなのかというのを説明できることが求められます。そこで鍵になってくるのがDiscipline(規律)Institutionalization(制度化)という概念です。

DisciplineとIBMのDisciplined Agile Delivery

まず、Discipline(規律)です。
そもそもアジャイル開発チームには、ある面ではトラディショナルな開発チームより厳しい規律が求められます。しかし、それをいくら説明しても中間管理職層にはなかなか響きません。なぜなら、それがSelf-Disciplineの色合いが濃く、マインドセットの変化を伴わないと理解しづらい部分があるからです。
その点で、最近あらためて見直しているのが、IBMのDisciplined Agile Delivery (DAD)という考え方です。
DADの全体像については例えばここからホワイトペーパーをダウンロードして読んでみるとよいでしょう。
Disciplined Agile Delivery: An Introduction white paper (Agility@Scale: Strategies for Scaling Agile Software Development)
そしてその背景にある、アジャイル開発におけるDisciplineについて、2007年の記事ですがこの記事がとてもよいことを書いているような気がします。
The Discipline of Agile | Dr Dobb's

InstitutionalizationとCMMI

Institutionalization(制度化)については、特に金融庁の監督下にあり検査対象となる金融機関などの場合に重要になってきます。また、それに限らず組織外のステークホルダーに対しての説明可能性を担保するためには、一定レベルでの制度化が必要であり、アジャイルと制度化のバランスをとっていく必要があります。
この点については、CMMIと組み合わせて、その相互作用で説明していくというのが一つのソリューションであると考えます。
古くは、Jeff Sutherlandほかの"Scrum and CMMI Level 5: The Magic Potion for Code Warriors"という論文が有名ですね。
Scrum and CMMI Level 5 The Magic Potion for Code Warriors pdf free ebook download from www.sitaware-sse.com
この中で3. Guide for mixing CMMI and Agile 3.1. How CMMI can improve Agileにいろいろなヒントがあります。
また、私も出版直後に斜め読みしたまま放置していますが、"Integrating CMMI and Agile Development"という書籍にもケーススタディを含めていろいろと書かれています。

まとめ

アジャイル開発導入に際して反対・抵抗勢力になりがちな中間管理職層にもそれぞれの立場や理屈があります。その中でキーワードとなるものを2つ挙げるとしたら、私は"Discipline(規律)"と"Institutionalization(制度化)"を挙げます。これらに対する不安と不満に対して、彼らの理解しやすい言葉で(あるいは彼らがさらに外部ステークホルダーに説明しやすい言葉で)説明してあげることと、場合によってはCMMIなどのフレームワークを援用して自社のプロセスを補強して安心させてあげることが必要です。


Integrating CMMI and Agile Development: Case Studies and Proven Techniques for Faster Performance Improvement (SEI Series in Software Engineering)

Integrating CMMI and Agile Development: Case Studies and Proven Techniques for Faster Performance Improvement (SEI Series in Software Engineering)