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人間の脳を活用せよ [Management 3.0 Course by Jurgen Appelo]

今週は、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013に2日間参加、その後2日間のManagement 3.0研修に参加というスケジュールでさまざまな刺激を受けた1週間でした。その中でまずは、Jurgen Appelo氏によるManagement 3.0研修について簡単に書き留めておきたいと思います。はい、本当に簡単に書きますよ。
なぜならば、ワークショップ/エクササイズを含めた2日間の濃い内容を私の拙い文章力では何をどうしても伝えきれないから。そして、有償の研修ですので、次回の開催があった場合にみなさんに是非わくわくした期待を持ったまま参加していただきたいからです。

複雑適応系に対処するには?

ソフトウェア開発やそのチームが複雑適応系(CAS: Complex Adaptive System)であるということはよく言われています。では、それに対処できるマネジメントとはなにか?複雑なものには何をもって立ち向かえばいいのか?というのがこのコースの中心テーマであったと私は考えています。

必要多様度の法則と必要複雑度の法則

そのコアをなす法則が、William Ross Ashbyの「必要多様度の法則」(The Law of Requisite Variety)であり、それを組織にあてはめた場合の「必要複雑度の法則」(The Law of Requisite Complexity)です。
では、必要多様度の法則とはどんなものかというと、一言で言えば、

Only variety can absorb variety.

ということであり、Anthony Stafford Beerは、物理学者にとってアインシュタイン相対性理論が重要なのと同じくらいに、このアシュビーの必要多様度の法則はマネージャにとって重要なものであると言っているらしいです。
それをシステムや組織に適用してみると、

The complexity of a system must be adequate to the complexity of the environment that it finds itself in.

となります。変化する環境の中で生存していくためには、それと同等の複雑度を自己のうちに持たなければならないということですね。

複雑性に複雑性をもって対処するには?

つまり、複雑なものに対処するためには複雑なもので立ち向かうしかないというわけですが、では我々の武器はなんでしょうか?それが人間の「脳」です。
脳は他のどんなツールよりも複雑です。
ならばそれを活かそうではないか、ということです。そのためのマネジメントの考え方が"Management 3.0"です。
「ルールをつくる」というのは、ある意味、人間が自分で考えるという行為(すなわち「脳」をつかうということ)のスイッチをOFFにしているのに等しいと考えられます。それはもったいないですね。

さまざまなワークショップ/エクササイズ

ということで、上に書いたようなことを6つの視点に整理したものを理解し、体感するというのが今回の研修です。その個々の内容については触れませんが、工夫されたワークショプやエクササイズについて、簡単にイメージだけ写真で紹介しておきたいと思います。
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こんな感じです。今回は通訳を介しての研修ということもあり、時間の関係でいくつかのエクササイズはスキップしていましたが、それでも十分なエクササイズがあり、Management 3.0の世界を体感できました。
で、ケチケチ言わずにもうちょっとワークの内容とか教えてよ!という方のために、同じく研修に参加されていた椿さんのブログへのリンクを勝手に貼り付けておきますね!

まとめ

というわけで、アジャイルなチームをどうやって育てていけばいいか?とか、どうやってアジャイルな組織に変革していけばいいのか?とか悩んでいる人、あるいは自分のチームをもっとよくしていきたいと考えているメンバー、どなたにとってもとても役立つ研修コースだったと思います。
その他、もうちょっと何か聞きたいとかいうことがあれば、またお会いした時にでもお気軽に声をかけていただければできる範囲でお話させていただきます。お会いする予定のない方は、飲みに誘ってください。


Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

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  • 作者: Jurgen Appelo
  • 出版社/メーカー: Addison-Wesley Professional
  • 発売日: 2010/12/28
  • メディア: ペーパーバック
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JurgenのManagement 3.0コースの開催について

先日、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013にJurgen Appelo氏が来日するということで紹介記事を書きました。

本日は、そのJurgenが世界各地で開催し好評を得ているManagement 3.0コースが日本でも開催されるという話のご案内です。(特に私自身が当研修の運営に直接関わっているわけではありませんけど。)

開催概要

  • 日付: 2013年1月17日(木)〜18日(金) : 2日間
  • 時間: 10:00 〜 18:00
  • 開催場所: 株式会社 VOYAGE GROUP 会議室パンゲア ( 〒150-0045 東京都渋谷区神泉町8-16 渋谷ファーストプレイス8F )
  • 価格: 20万円
  • 主催: アギレルゴコンサルティング株式会社

詳細については、以下のサイトをご覧ください。

アジャイルなマネジメント

Jurgenの言うManagement 3.0についての話や、「アジャイルなマネジメント」について考える必要性については、以前のエントリにも書いています。

対象者はマネジメント層だけではない

マネジメントの研修ではありますが、対象はいわゆるマネージャ層だけではないと考えています。
私自身はJurgenの考え方は、植物を育てるように人やチームを育てる考え方だと理解しています。つまり、植物そのものに働きかけるのではなく、土を耕したり水をやったり日当りを確保したり…。人そのものではなく人のまわりにある「システム」に働きかけるという考え方です。
ですので、自分が働くチームを少しでもよくしていきたいと思うメンバーやチームリーダーにとっても得るものは大きいと思います。
また、その根底にある複雑適応系への関わり方とシステム開発の関係などは、アジャイルな開発のフレームワークやプロセス、プラクティスの適用などを考える上でも非常に参考になると思いますので、ご興味のある方は是非参加をご検討ください。


Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

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Jurgenがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!

既にみなさんご存知のことと思いますが、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013にJurgen Appelo氏がやってきます。
というわけで、予習エントリでございます。

まず一冊読むなら"Management 3.0"

とりあえず読んでおきたいのは、"Management 3.0"ですね。これは良い本。

Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders (Addison-Wesley Signature Series (Cohn))

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日本語でお手軽に読みたいなら

そうは言っても洋書はちょっと…という、そこのあなた!
そんなあなたのために、ワンコインで買えるお手軽な翻訳書が電子書籍で出ています。

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これは、買って読むしかないですね。

その他

これまた英語になっちゃいますが、このあたりは追いかけておくといいですね!

TwitterFacebookでは、Jurgen本人のアカウントだけでなく、以下もチェックです。

そしてみんなでJurgenに会いに行こう!

"Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013"は、年明けすぐの2013年1月15日〜16日の2日間開催で、現在チケット絶賛発売中らしいです。

アジア諸国でのアジャイル開発普及と人材教育

ひきつづき、Agile Tour Osaka 2012 in Minohの告知ブログです。前回のエントリの時点では、まだ長瀬さんの講演タイトルと概要が公式に発表されていませんでしたが、数日前にようやく公表されました。

アジア諸国でのアジャイル開発普及と人材教育

これが、長瀬さんの講演タイトルです。そして概要は、こんな感じ↓

欧米諸国では、アジャイル開発はメインストリームとして当たり前になりましたが、日本での普及は10%にもなりません。日本では、従来型にしがみつきアジャイル開発の普及が進みません。その裏では、日本のソフトウェア開発は、日本からアジアの新興国へシフトしだしています。
それでは、アジア諸国でのアジャイル開発の普及はどうなっているのでしょうか。とりわけ、中国、ベトナム、タイのアジャイル開発事情と人材教育の現場の話をいたします。

これを聴いて何を感じるか、何を考えるか

それはまさに参加者次第です。
オーガナイザーとして、長瀬さんに講演を依頼する立場として期待しているのは、これが単にアジア諸国のお話として捉えるのではなく、参加者ひとりひとりが今後の自分自身のエンジニアあるいはビジネスパーソンとしての生き方を考えるきっかけになればいいな、ということ。
その意味では、私自身が勝手にこのイベントの「裏テーマ」と考えている「会社に頼らない働き方、日本に縛られない生き方」を考える上での直接的ではないかもしれないけれどもさまざまなヒントを与えてくれるセッションになるのではないかと思っています。

Agile Tour Osaka 2012の講演内容が少しずつ明らかに!

というわけで、前回のエントリに引き続いて、Agile Tour Osaka 2012 in Minohに関していくつかのアップデートを。

今年のAgile Tourのマップが更新されました

Agile Tour 2012の公式サイトのトップページのマップが更新されました。

このAgile Tourというムーブメント自体がフランスから始まったので、フランスでの開催都市が多いのは当たり前ですが、やはり昨年に引き続いて中国とブラジルが多いのが目立っていますね。

講演タイトルと内容の一部が公表されました

牛尾さんと藤原さんの講演タイトルと内容が公表されています。

Agileの里、箕面にだけこっそり教える プロダクトオーナーの秘密 〜大抵の人が出来ない無から有を生み出すちょっとした技術〜」(牛尾さん)

タイトルから、牛尾さん節が炸裂してますね(笑)。

プロダクトオーナーの仕事で多くの人が困難に感じるポイントは、既存の情報を整理すると、ストーリや要求が出てくる訳ではなく、自ら考えて、新しい要求を自ら生み出すところだと思います。本講演では1を100にするテクニックではなく、0から1を生む技術を理解してもらいます。そして、その考え方を皆さんと一緒にリアルに体験してその経験を持ち帰ってもらう為のセッションです。

「地図を捨ててコンパスを頼りに進め!」(藤原さん)

マインドセットの変革とかの話ですかね。楽しみです。

よりソフトウェアを価値のあるものにするために。言うのは簡単ですが、そこにたどり着くまでの道のりは長く険しい。それは、なぜなのでしょうか?このセッションでは、従来の開発方法から離れられないマインドセットや、アジャイルプラクティスを習慣に変えるまで苦悩など、社内アジャイル開発支援活動から見えてきたアジャイル適用の壁を、事例を交えながら紹介させて頂きます。

長瀬さんの講演も楽しみです

そしてまだタイトルも内容も公表されていませんが、このイベントのオーガナイザーの一人として個人的には長瀬さんの講演を楽しみにしています。アジア諸国でのエンジニア教育・アジャイル教育にも携わっておられる長瀬さんの話を聴いて、日本人として我々は何を感じ何を考えるか、参加者の皆さんともディスカッションしてみたいです。

そして主役は参加者のみなさんです

前回のエントリにも書いた通り、カンファレンスの運営についても、いろんな試みをしていきたいと考えています。特に今回は、"Ignorance Backlog"(無知のバックログ、知りたいこと一覧)をもとに参加者自身が講師や他の参加者から必要な情報や知識をPULLできるような仕組みを組み込んでいきます。

今年もやります!Agile Tour Osaka 2012 in 箕面!

今年もAgile Tourの季節がやってまいりました。ゆるく世界とつながりながらやっているこのイベントも大阪での開催が今年で3回目。
オフィシャルページはこちら↓

詳細と申込はこちら↓

過去2回をふりかえりたい方は、こちらのエントリもどうぞ。

今年は箕面で!

今年は大阪市内から離れて、箕面市での開催となります。
Why Minoh?
滝があるから?紅葉が見たいから?箕面ビールを飲みたいの?ミスタードーナツの1号店があるから?年中食べ放題の「カーネルカフェ」コーナーのあるケンタッキーフライドチキン小野原店があるから?………?

いえいえ、どれも正しいけど正解ではありません。

実は、(私の知っている)Agilistaたちの中に結構、箕面市に縁のある人が多いことに最近気づいてしまいましてw。
実家が箕面の人や学生時代箕面に住んでた人…。誰がそうなのかは、当日現地で確認してみてくださいね。実は箕面で滝に打たれて育った人が今、その反動でAgilistaになっているのではないかとの仮説もあり、とりあえず箕面!ってなわけです。

カンファレンスのあり方を変える試み

今回のテーマにも関係ありますが、Agile Tour Osaka 2012 in Minohではカンファレンスのあり方そのものも「チェンジ」してみようかと考えています。
それは、半年ほど前に

というエントリを書いてからずっと考えていたことでもあります。
一度に全部は無理だけど、まずは少しずつね。

お申し込みはお早めに!

まだ、サイトでは詳細プログラムなどを掲載できていませんが、これから徐々に更新していく予定です。
まずは忘れないうちに、今すぐお申し込みを♪

XP祭り2012で感じたこと、考えたこと

9月15日に開催されたXP祭り2012に参加してきました。
今年は縁あって、「アジャイルコーチラウンドテーブル」というセッションにも(アジャイルコーチじゃないけど)登壇させていただきました。現在の立場的なものもあり、直接回答できるような内容があまりなかったですが、みなさんの悩みや現場での取り組みをいろいろ聴くことができました。

チームを育てるという視点は大事

ラウンドテーブルでの質問の中でも「アジャイルって、優秀なスーパープログラマーを集めないと無理なのか?」というようなお題があり、そこでの回答でも「アジャイル開発に取り組む中でメンバーのレベルを引き上げていく」という話がありました。それはまさにその通りだと思います。
優秀なメンバーがいるからアジャイル開発ができる、ではなくて、アジャイル開発に取り組む中で優秀なメンバーが育ち、すばらしいチームができるということだと思います。逆に言えば、このメンバー育成の視点やチームの成長の視点を持たなければアジャイルではないと言ってもいいくらいかと思います。
今は、直接アジャイル開発チームとは関わっていませんが、それでも、アジャイルの「育てる」という考え方はいつも忘れないようにしていることの一つです。
(参考) Always All Ways: [IT] 継続的改善フレームワークとしてのScrum

組織の壁は人の壁

もう一つは、アジャイル開発の導入・展開における「壁」の話。
この話は、いつも出てきますね。確かに、大きな組織になればなるほど「組織」という壁にぶつかったり、なんとも説明しがたいが抗うこともできない「空気」に流されることはよくあります。しかし、私自身はその実態の掴めない「組織」や「空気」と戦うのはあまり賢明ではないかな、と思っています。そうではなく、それを人との壁であったり、自分自身が勝手に作っている(思い込んでいる)壁として捉えて対処していきたいな、と。
そんなことを考えていたら、2年ちょっと前に書いたブログを思い出しました。

これは、要求開発アライアンスの定例会のUstream中継を観ながらつぶやいた内容について補足する形で自分の考えを綴ったものです。XPだろうがアジャイルだろうが要求開発だろうが、組織の中で何かやろうとした時の話には共通点があるなー、と改めて思いながら読み返した次第。

選択理論心理学もかじっておくといいよ

上で挙げたブログの最後にも書いていますが、組織の中での人との問題に対処するには、ウィリアム・グラッサー博士の「選択理論心理学」も少しかじっておくといいかもしれません。(少なくとも私はこれに少なからず影響を受けています。何年か前にDevLove関西の初回でこの話もした記憶がありますが、残念ながらスライドは公開していません。)
あとは、"How to Change the World"ですね。
これは、ナイスビアの人が今回のXP祭り2012のLTで紹介してくださっていますので、以下のスライドをご参照ください。

グラッサー博士の選択理論―幸せな人間関係を築くために

グラッサー博士の選択理論―幸せな人間関係を築くために